女性の2人に1人が便秘と言われますが、そこには女性ならではの理由があるようです。
便秘は、お腹が張って腹痛や吐き気、食欲不振の原因になり、腸内に溜まった老廃物の発酵によってつくられた毒素が、肌に影響を与えて吹き出物やシミなどの原因になることもあります。
ほかにも、頭痛・肩こり・腰痛などを引き起こすだけでなく、便秘の人は乳がんの確率が高いとするデータもあるようですから、女性は便秘に注意が必要です。
便秘による免疫力の低下が肌荒れに!女性特有の原因
女性が便秘になりやす理由として、次のような点が挙げられます。
- 女性ホルモンのはたらき
- 無理なダイエット
- 冷え性
- 筋肉量が少ない
- 排便を我慢する
- 妊娠・出産 など
女性が便秘になりやすい理由の一つが、女性ホルモンの黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加です。
プロゲステロンは、妊娠中徐々に増加する女性ホルモンですが、身体に水を貯める働きがあるため、腸内の水分が不足することで便が固くなり便秘がちになります。
冷え性や無理なダイエットによって、腸のはたらきが鈍くなることも便秘の原因ですが、さらに筋肉量が少ないために便を押し出す力が弱いことが便秘を加速しています。
また、女性の場合、排便を我慢する傾向が強いことも便秘が多い理由の一つです。
免疫力の低下と肌荒れの関係は?
便秘になると、腸内に有害な物質がたまり、腸内環境が悪化するため、腸管機能の低下によって免疫力が低下するそうです。
身体の免疫力が低下すると、皮膚のバリア機能が落ち、紫外線や外部刺激の影響を受けやすくなるため、結果として肌荒れやニキビなどが出来やすくなります。
腸内細菌がつくる有害物質が肌に?
便秘によって、便が大腸内に長時間留まると、便の腐敗が進んで悪玉菌が増加します。
悪玉菌は腸内のタンパク質などを分解して、有害物質であるアンモニアやアミン、フェノール、インドールなどをつくりだします。
腸内でつくられた有害物質は、一度体内に吸収されて、血流に乗って全身をめぐり、一部が汗となって皮膚の表面へとどけられます。
資生堂「医肌研究所」HPによれば、そのとき汗に含まれる有害物質が刺激となり、肌あれを起こすと考えられるそうです。
これらの物質は、体臭や口臭の原因にもなりますから、カラダの中からのケアがとても大切なことがわかります。
便秘によって皮膚のターンオーバーにも影響が・・・
便秘は、皮膚のターンオーバーにも影響を及ぼす可能性もあるようです。
詳しい仕組みはまだ解明されていないようですが、有害物質が血流に乗って肌に蓄積されることで、表皮細胞の正常な分化に影響を及ぼすと考えられているとのこと。
ターンオーバーが正常におこなわれなければ、シミ・シワなどの肌トラブルが起こりやすくなりますから、女性にとって便秘はお肌の大敵と言えます。
日本人に多い弛緩性便秘とは
便秘にはさまざまなタイプがあり、それぞれ原因の対処法も異なりますが、日本人に多いのは「弛緩(しかん)性便秘」と呼ばれるタイプです。
弛緩性便秘は、機能性便秘の代表的なもので、大腸の運動が低下することによって起こります。
腸管の緊張がゆるんでしまうことで、腸の蠕動(ぜんどう)運動が悪くなって、便が大腸内に長くとどまることになります。そのため、便に含まれる水分が過剰に吸収され、便が硬くなることで便秘になります。
便秘をやわらげるための日常生活
女性が便秘になりやすい原因として、腹筋が弱いために便を排出する力にも支障が出てしまうことが挙げられますが、日常生活を見なおすことで少しづつ改善することができます。
近所への買物はできるだけ車を使わない、エレベーターを使わずに階段を使う、散歩をする、空き時間に軽く運動するなど、日々の積み重ねが便秘の改善につながります。
無理なダイエットはしない
とくに女性が陥りがちなのが、無理なダイエット。体重を落とすことだけにこだわって、必要な栄養素が足りなくなることが、健全な腸の活動にも悪影響を与えます。
食事量を減らすと、健康なカラダを維持するための栄養素が不足します。脂質や食物繊維、水分も減ることになり、腸のぜん動運動がスムーズにおこなわれなくなり、便秘の原因になります。
理想的な減量は、1ヶ月1kg程度ですが、さらに、筋肉量を落とさないのもポイント!
さらに女性の場合は、カロリー摂取量と女性ホルモンの分泌が密接に関わってきますから、正しい指導のもとでダイエットをおこなわなければ危険です。
便秘を防ぐための食生活
便秘にならないためにも、食事の栄養バランスはとても重要です。
なかでも食物性繊維は、便量を増大させ、排便リズムを回復させると言われ、便秘を改善するために欠かすことができない栄養素です。
食物繊維を多く含む食品には、穀類、野菜、豆類、イモ類、海藻類などがあり、5大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質、ミネラル、ビタミン)と合わせて、バランスよく摂ることが便秘を防ぐ秘訣です。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類あり、この2種類の食物繊維をバランスよく摂ることが大事です。
「大麦」には、2種類の食物繊維がバランスよく含まれていて、食物繊維の量は、白米の17倍、代表的な食物繊維食品のサツマイモの4倍と言われています。
女性に多い便秘が体臭の原因に!食物繊維との関係は?の記事を参考にしてください。
安易な便秘薬の使用は危険
便秘薬の安易に使うのは、危険です。
大腸を刺激して便秘を解消する薬「刺激性下剤」の場合、回数を増やして長期間使用すると、大腸がその刺激にだんだん反応しなくなってしまい、かえって便秘になる危険性があります。
「機械的下剤」は定期的に使用しても安全と言われますが、マグネシウムを成分としているものは、マグネシウムの血中濃度が高くなってしまうため、高齢者や腎臓病の人では注意が必要のようです。
できれば薬剤師などに相談したうえで、用法用量を守り、服用したほうがいいでしょう。
便秘予防はできることから一つずつ
女性の便秘には、女性ホルモンの分泌量などがかかわってきますから、予防や解消は男性より難しいかもしれません。
しかし、機能性の便秘であれば、日常のライフスタイルや食生活を改善することで、腸の環境をととのえることができますから、まずは出来ることを一つずつやってみることが大事です。
便秘がお肌のトラブルだけでなく、体臭にも影響を与えることを考えると、早めにケアすることをおすすめします。
また、便秘が改善されないときは、重大な病気が原因であることも考えられますから、医療機関を受診したほうがいいでしょう。