線維芽細胞が、三大美容成分「コラーゲン」「ヒアルロン酸」「エラスチン」をつくりだすことがわかってから、体の内側からスキンケアをする方が増えてきました。
皮膚の外側からのケアでは、真皮層の線維芽細胞まで成分をとどけることが難しいからです。
それでも、美容成分の分子を小さくしたり、イオン導入などの技術によって、外側からのスキンケアができるようになってきたのは大きな進歩です。
しかし、線維芽細胞のはたらきを高めるためには、体の内側からのケア無しでは考えることはできません。
肌の角質層は、体の内側でつくられた細胞が、外側へ押し上げられたものだからです。
線維芽細胞にはたらく成分
三大美容成分「コラーゲン」「ヒアルロン酸」「エラスチン」の製造工場とも言えるのが、線維芽細胞です。
この線維芽細胞を活性化する成分が、多くの美容ドリンクやサプリメントに配合されていますので、どんなものがあるのかをチェックしました。
コラーゲンペプチド
コラーゲンと書こうと思いましたが、あえて「コラーゲンペプチド」としました。
食品から摂取する通常のコラーゲンは、分子が大きすぎてそのままでは、体内に吸収されないからです。
料理などから摂り込まれたコラーゲンは、一度アミノ酸に分解されてから、体内に吸収されます。
しかし、コラーゲンの一部が小さく分割された形(これがペプチドです)で体内に吸収され、線維芽細胞の増殖にはたらくことがわかってきました。
その振舞いは、コラーゲンそのものとは性質がまったく違いますので、コラーゲンペプチドとしています。
ビタミンC
ビタミンCは、強い抗酸化作用があり、ガンの予防や動脈硬化にも効果があると言われています。
コラーゲンの生成には不可欠の成分で、ビタミンCが不足すると、壊血病、心疾患、貧血など、さまざまな病気の原因になります。
ビタミンCにも、線維芽細胞を活性化する効果があることがわかってきました。
多くの哺乳類では、体内でビタミンCを作ることができますが、ヒトは外から摂取しなければなりません。
サプリメントなどで、不足分を補う必要があるのはそのためです。
イソフラボン
女性ホルモン「エストロゲン」に似た作用を持つのが、大豆イソフラボンです。
大豆の胚軸(生長して芽になる部分)に多<含まれている抗酸化物質の一種で、「活性酸素」の働きを抑えてくれます。
さらに、線維芽細胞を活性化すると言われています。
FGF(線維芽細胞増殖因子)
Fibroblast Growth Factorの頭文字をとったもので、文字通り、線維芽細胞を増殖させる因子です。
最近注目されているヒト幹細胞培養液にも、さまざまな栄養素やグロースファクターなどが含まれていますが、FGFもそのうちの一つ。
ヒト幹細胞培養液は、皮膚の線維芽細胞のレセプターに直接はたらきかける成分であるサイトカインが豊富に含まれていることから、その効果が医療や美容分野でも注目されています。
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プラセンタ
プラセンタ(Placenta) は、哺乳類の「胎盤」のことで、胎児の生育に必要なすべての栄養や酸素を供給するはたらきがあります。
ほかにも、ホルモン、整理活性物質、さまざまな成長因子など、すべてを胎児に供給するだけでなく、胎児を毒物や異物の侵入から守る免疫機能も果たしています。
このプラセンタには、線維芽細胞増殖因子(FGF)が多く含まれていて、摂取することで線維芽細胞の活性化にはたらきます。
プロテオグリカン
動物の皮膚に含まれ、保水能力が高く、肌荒れやシワ、メラニンをおさえる作用、色素沈着を改善する作用が確認されています。
EGF(Epidermal Growth Factor)は、上皮細胞増殖 因子と呼ばれ、細胞の成長と増殖の調整に重要な役割を果たしますが、年齢とともに減少します。
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンには、このEGFに似た作用のあることが、弘前大学のヒト線維芽細胞を用いた研究で確認されています。
レチノール
レチノールは、2018年に、世界的に注目された成分の一つで、ビタミンAの一種。油脂に溶ける脂溶性ビタミンです。
レチノールは、ニキビや小じわを減らして、細胞のターンオーバーを加速させるなど、 “万能の若返り成分” として人気になりました。
しかし、肌への影響は強力で、レチノールを使い始めて、肌が赤くなったり、カサカサになった人がいるようです。
レチノール配合のスキンケアブランド『SkinSense』の創設者は、成分濃度に注意するだけでなく、20代、30代では必要ないとの意見も。